2010/07/30

Auckland Australs 2010体験記(byけーた)

お久しぶりの更新です!今回は6月30日~7月7日にニュージーランド、オークランド大学主催で行われたAuckland Australsの体験記を13のけーたが書いてくれ、色んな人にシェアしたいと言ってくれたのでその内容をupしたいと思います(^^)
すごいですよ!

以下けーたの書いてくれた体験記↓


Auckland Australs 2010 体験記
(13 高柳)

<構成>
Ⅰ.成績 Ⅱ.各ラウンドの様子 Ⅲ.大会を通じて感じたこと  でいこうと思います

Ⅰ. 成績
ひどい数字ですが、どうせオーストラルのホームページで公開しているので。
ICU 2: 2勝6敗
ICU 1: 2勝6敗
成績だけをみると散々ですが、全く通用しないとかではなかったです。もちろん、ブレイクしていたようなチームには全然通用しないですけど、何点か工夫をすれば下位のチームには勝てると思いますし、3~4勝は堅いと思います。

Ⅱ. 各ラウンドの様子
各ラウンドをほんとおおまかに振り返りたいと思います。僕はあまり相手のスピーチを紙に書かないので、詳細に振りかえることができません。すいません;

R1:That we should prevent parents from raising their children in a particular religious faith (vs. IBA1) (Aff.)
結果:負け(Chair voted for ICU, 2 panels voted for IBA)
敗因:1. Key なPrinciple (when can state restrict parents’ rights)をDPMで出した、遅れた、ラウンドにおいてそこまで重要な議論に成り得なかった 2.Aft.の世界(children’s freedom of religionがbetter achievedな世界)を明確に提示できなかった 3.相手の一番強いHarm(breakdown of family relation)への反論が不十分

R2:That we should ban the international trade in sportspeople under the age of 18 (vs. NTU3)(Neg.)
結果:負け(Chair voted for ICU, 2 panels voted for NTU)
敗因;ジャッジ3人に聞きに行ったけど、今でもreasonが微妙にわかりません。ただ言われたのは、 1.相手の(minorによるちゃんとしたconsentがないまま先進国に連れてかれている)の議論の否定が不十分(例えば“18以下だって結婚などの重要な判断はできるとされている”とかいう反論はできた)2.相手のconsentの議論へのeven if反論 を前面に押し出し過ぎた→相手の提示したproblemを認めた感じがしてしまい、相手も上げ足を取ってきた。

R3:That New Zealand and Australia should place no restrictions migrants from Pacific countries, other than those relating to health and security (vs. Singapore Poly1)(Aff.)
結果:負け(All vote)
敗因:1.NZ, Aust, Pacific Islandsのuniq.を出せなかった(”近い、P. islandsも同じようにEngしゃべる”だけじゃ不十分) 2.Problemtとsolutionの間にgapがあった(economic benefitが欲しいならcitizenにしなくてもvisaでいい) 3.相手の一番強いHarm(xenophobia)への反論が不十分

R4:That senior citizens should be financially supported (when required) by their adult children (vs. MMU1)(Aff.)
結果;勝ち(All vote)
勝因:1.政府がforceする理由を相手が提示しなかった、こっちも一貫してそこを突いた 2.相手のmodelの説明不足からくるHarm (children w/ hardship forced to pay & serious burden) & 政府による強制からくるHarm (family relation breakdown) をある程度説明できた

R5:That the US should not sell arms to Taiwan (vs. IBA1)(Aff.)
結果:負け(Chair voted for ICU, 2 panels voted for IBA)
敗因:Principleの議論で負けた(こっちのnon independent stateに武器を売ること=Double standardの議論は上手く返され、相手のrole of US to uphold Democraciesの議論を切ることに失敗)

R6:That we should prohibit discrimination in the labour market on the basis of physical attractiveness (vs. Victoria Wellington 6)(Aff.)
結果:負け(1 voted for ICU, 4 voted for Victoria)
敗因:1. Problem (workers fired due to their physical appearance) を大きく見せられなかった(urgency & size) 2.Workability (court can decide whether 解雇A was due to appearance)の証明に失敗 3. Principleポイントで線引き(labor marketでの判断基準として良いもの&だめなもの)の話をし過ぎて、「そもそも個人のappearanceへのrightがある」ことを言わなかった

R7:That Turkish admission to the EU should be contingent upon a full recognition of the Armenian genocide (vs. Otago4)(Neg.)
結果:負け(2 voted for ICU, 3 voted for Otago)
敗因:わからない。7試合目からはClosedなのでreasonを聞いていない。BarやDance Partyでジャッジを探したけど見つからず、聞けずじまい。これは絶対Judge 5人とも説得できた!と思っていたので、敗因はちょっと分かりません。

R8:That we should prohibit private prisons (vs. Tsuda1)(Aff.)
結果:勝ち(内訳は不明)
勝因:わからない。7試合目と同様、ジャッジに聞くことができず。

Ⅲ. 感じたこと
最後にジャッジを説得できない中で感じたことを箇条書きで挙げます。8点あります。

① Problem&Solutionは核
「ProblemとDefinitionをしっかり言うなんて当たり前じゃん」って思いますが、その重要性の認識において日本と海外では大きな差があると感じました。NAが主体の日本では、「ProblemとDefinitionは2分くらいで説明して、あとはポイントの数とインパクト勝負」って風潮があるように感じますが、オーストラルで感じたのは、①Problemをanalyzeしてそれを言うだけじゃなくて、大きくみせて(Context, Urgency, Trend等)、②Solutionがそれを解決するメカニズムを説明して、③(できれば)SolutionがBest or Only wayである証明をすることが求められている気がしました。
2004 Australs GFの映像をみると、PMはかなりの時間をProblemの説明に割いています。
R6はProblemを大きくみせられずに落とし、R1&6はSolutionのworkabilityを相手がしつこく突いてきて、結局それを証明できず、結果的にジャッジを説得できませんでした。

*これは推測ですが、Aff.だったら、①今すぐ解決しなきゃいけないProblemがそこにあって、②自分達のSolutionが解決して、③そもそも自分達のSolutionはやっていいことである(Principle)ことを証明したら、かなりの確率でジャッジを説得できる気がします。確かに大きなProblemをsolve/alleviate できること自体をbenefitとして捉えるのは納得できます。Practicalなbenefitはあくまでperipheralである印象を抱きました。

② Principleの議論で勝つこと:
(a) Principleのポイントをたてる:やっぱり原理原則のポイントが強く求められていると感じました。ジャッジもPracticalの議論の前にPrincipleをみていました。そしてその世界基準を知っていたのか、僕たちがあたったチームの中にはPracticalでないポイントを2,3個立ててくるところもありました。やはりgeneral value, applicability, analogous example を押さえたポイントを立てる必要があると思います。
R5 (arms sale to Taiwan motion):こっちの提示した2つのPracticalなポイント(US & Taiwan’s economic benefit)が相手に全く反論されず、ジャッジも最終的には残っていると判断し、その上相手のpracticalなharmは残っていなかったと判断したのにも関わらず、Principleの議論でジャッジを説得できず、試合も負けました(これは極端なケースかもしれませんが)。
(b) 相手のPrincipleへの反論:やはりPrincipleのクラッシュで勝つには相手のPrincipleを切ることが必要とされました。相手の線引きが違うことの証明、もしくは相手のPrincipleにのったらとんでもない世界になることの証明(by Toshiaki Ikehara)をすることが有効だと感じました。
R5: “Core of US’ foreign policy is to support democracy, hence US have to keep on supporting Taiwan”に対して”China in nature will never allow Taiwan to be independent. It’s good to uphold your impressive principle, but we have to be realistic, that principle is just not applicable in this particular case of Taiwan”みたいなことは言えたのかなと思います。

③ No strict rules about Argument
日本でポイントとして認定されるには、SQ&AFT&IMPのストラクチャーがなければならないという認識があるようですが、オーストラルでは「これをしなきゃポイントじゃない」という型はなく、ラウンドで重要な位置をしめる議論はなんでもポイントとなり得ると感じました。また、これは推測ですが、practicalなポイントに関しては、aft.の説明だけで十分な気がします。Sq.の説明は必要と感じたときだけにして、それ以外のときはその分の時間をrebuttalに割いたほうがいいと思います。
2004 GF のPMはproblemの説明をポイントとしていましたし、2009 GFのPMの1stポイントは「why now」でした。

*ただポイント内でサインポスト(one, two等)を多用してストラクチャーをきれいにみせることは日本と同様に強く求められました。

④ Rebuttal in General
(a) なるべく前に(LO、DPMからどんどん):日本では「Asian StyleではWhipがいるからLO/Deputyは反論を重要なものだけに限って最小限に」という風潮がありますが、オーストラルではLOの時点から次々に反論をしていました。相手の議論にengageすることで議論を深めていくことを重視する海外のディベート文化を反映しているのでしょうか?実際、うまいとされていたLOも平気で4~5分まで反論をしていましたし、ちょっとでも重要な反論をDeputyでしたら、試合後にジャッジに「遅い」と言われました。
(b) Even Ifを多用:相手の議論を否定するだけでなくて、相手のシナリオがTrueだとしてもラウンドにおいて重要でないことを説明する。これはAmit GolderやToshiaki Ikeharaにもしきりに言われました。確かに、結局どっちのサイドのシナリオが正しいのかジャッジの判断に委ねるのを防ぐ上で欠かせないと感じました。

*ただ難しいのが、Even If反論に時間を割き過ぎ、否定の反論よりも強調し過ぎると、結局相手の議論を否定していない印象をジャッジに与え+相手に“認めてるじゃん”と上げ足を取られます。実際R2でsplitを招いてしまった理由の1つがこれでした。Even If反論をするときはその反論に割く時間とトーンに気をつけたほうがいいと思います。

⑤ Mannerも核
特にこの点は、予選で負けていく中で、あまり議論を細かく検証しないジャッジに当たり始めてから重要だと思いました。Mannerに含まれるのは、英語/ジェスチャー/トーンもそうですが、スピーチをしていないときの態度や雰囲気もそうです。やっぱり陰鬱な雰囲気を出している方が負けにし易いと思うので。POIがない中、”Shame”や”Here Here”といった小細工でdebateにengageしている感を出すこともまんざら無意味ではないと思います。
 R2のジャッジに「you need to “crystallize” your arguments more」と言われました。”crystalize”が何を指しているのか聞いてもよくわからない答えが返ってきました。おそらく彼が言いたかったのは、”Mannerを改善しろ”だったと解釈しています(笑)

⑥ 世界観がLiberalなジャッジが多い
オーストラリア&NZ人のジャッジが多かった今年のオーストラル特有のことかもしれないですが、自由主義的な見方(特に社会的側面において、Eg: Free Choice、女性の権利、マイノリティの権利等の積極的拡大)を好むジャッジが多かったです。もちろん中にはそうでないジャッジもいると思いますが、トレンド的にオーストラリア&NZは多いです。モーション選びやスタンス/ポイントを決める際に頭の片隅に置いておくべきかもしれません。
Pre-Australs R1「female quota in board of executive」motionのNeg.で「Companyの運営がうまくいかなくなる」を1st pointに据え、DLOで「女性への差別を促進する」を提示する感じでいったら、ラウンド後にジャッジに「this debate is about women, not company」的なことを言われ、落としました。Aff.もboard of executiveの30%が女性にすることでどう女性を取り巻く環境が改善するか証明しきれてはいなかったのですが、ジャッジが好意的に拡大解釈をしていました。
Ban TobaccoのNeg.でFree Choiceの議論をしたら、assertionの時点で「うんうん」とジャッジが頷いていたのが印象的です。

⑦ 知識量の差
僕たちICU1は最強チームとあたった訳ではなかったので、この点はラウンド内で感じた訳ではなかったですが、大会全体を通して感じました。やっぱりevidenceがあると自然と説得力が増します。
Octoのacademic achievementに応じて学校への助成金の額を変えようmotionで、USU2のPMは「この政策は既にNYで導入され、成功している。それを受けてArizonaなど他の州でも試されてきている」と序盤から捲し立てていました。
R6(米国は台湾への武器輸出をやめようmotion)が終わったあと、Melbourne1のベテランディベーターが「近年、米国は92年、?年、08年、そして今年の1月に台湾に思いっきり武器を輸出したよね。その度に中国は軍事演習やるとかいう反応を示したよね。それぐらい中国にとってはsensitiveなissueなんだよねー」と教えられてしまいました・・・

⑧ Reply in General
(a) 主要な議論はなるべく全てカバー:日本のディベート界の中には、Replyでは1つや2つのissueをpick upしてそこで勝っていることを証明することを好む人がいると思います。ただ、オーストラルのジャッジは”cover all the important issues”、”you don’t want to drop out important issues”、「3, 4aspectsは普通」という人が圧倒的に多かったです。
(b) 落ち着いたトーンで:これは全てのジャッジに言われたことなんですが、Replyはbiased adjudicationなので、熱くならずに落ち着いたマナーで淡々と議論を振り返ってほしいようです。



以上です!
今度はぼくもAustralsを振り返った記事を書きたいと思います^^